毎年言ってる気がするけど、もう、わたし別に博子のこと悲しくないんだあ。悲しんでるふりをしているだけ。博子の死を悲しんでいるふりをしていれば、大抵のことが許されたから。ああ、かわいそうだな、って、みんな思ってくれるから。未だに色んなことが許されるから、こわいよなあ。もう8年も経ったのに。博子の顔なんて、もはや鮮明には思い出せない。もやがかって、もやの向こうから悲しそうな顔。でも、わたしは悲しくないからどうしよもない。毎年毎年、同じようなこと書いてる割に、博子のことで悲しくなるのをやめない自分に辟易する。ああ、なんて馬鹿で愚かなのだろう私の思考。