わたしの服のボタンを片手で器用に外していく、懐かしの彼の顔をぼーっと見ていた。3年前はラブホテルで何もせずにお話だけしていた男の子が、随分と大人になったものだな、と、なんだかとても偉そうなことを思った。清直が日本に帰ってきた。離れている間わたしは清直に愛とは何かと問い続け、彼はそれについて真摯に考えてくれていたが、考えれば考えるほどそれが分からなくなってしまったらしい。つまりわたしのことを愛していると思っていたが、それも分からなくなってしまったということだ。ごめん、と言われた。正直がっかりしたよ。自分が彼をそうさせたのだと分かっていながらも、がっかりです。もうわたしのことを好きではないのだろうか。よしよしって頭を撫でてはくれないのだろうか。喪失感。またひとり馬鹿な男の子を失ったよ。別にいーけど、って感じだけれど、正直さみしい。わたしは普遍の愛がほしいだけなの。誰かわたしを愛して。愛してくれるなら、誰だっていいのに。

21歳になった。なんで生きているのだろう。という疑問は拭い切れない。わたしの心臓はなぜまだ止まってはいないのだろうか。

不幸はわたしを幸福にする。不幸のぬるま湯ほど、居心地のよいものはないから。