結局小菅の連絡先は聞いていないし、会っていない。自分はそんなことできる立場にないということを自覚したから。悩んでる間に仕事がおろそかになって多方面に迷惑をかけた。こうやってすぐに精神を乱すわたしは大学受験の頃と何も変わっていないので、今のわたしでは小菅に会えない。というのが1つめの理由。2つめの理由として、小菅が生きているという情報を戸塚から得たことを三滝にうっかり話してしまった。そうすると三滝は戸塚に余計なことを言うなと言ってひどく憤慨した。わたしが小菅と接触して、再び小菅に依存してしまうことを恐れているのだろう。というのも自意識過剰で馬鹿馬鹿しいのだけれど。でもそう思うと何だかにやにやがとまらなくて、大切にしてくれるかどうか分からない小菅よりも、三滝のことが愛しくなってしまうというような、そんな感じ。三滝が取り乱した姿は、わたしをひどく安心させる。わたしが誰と性的関係を結ぼうとも、三滝は取り乱したりはしないのだが、小菅のことだけはどうも平常ではいられないようだ。(つまりわたし云々ではなく、単純に三滝は小菅が嫌いなだけなだけなのだろう。わたしがふたりを天秤にかけているわけではない。)